海外で暮らしてる方が長くなって、もう日本には戻らないつもりだ。でも、たまに入る日本食屋さんで目にする平仮名に、和食器に、暖簾に、こんなに郷愁を感じてしまうのはなぜなのだろう。
日本に残してきた高齢の母の体調が気がかりで、久しぶりに帰国した。母が明月院のあじさいが見たいという。鎌倉?遠いなぁ。でもひさしぶりに親孝行するか。そういって都心から電車に揺られて1時間と少し。北鎌倉駅に降り立ち驚いた。学生の頃デートで来た以来、何も変わらない景色がそこで僕を待っていた。
足の悪くなった母の手をとってゆっくり緑の中を歩く。厳かなお寺の凛とした空気。淡い色合いの紫陽花が深いグリーンに色を添える。とりとめない話をしながら、ぶらぶらと歩く。
ひとしきり散策を楽しんで、北鎌倉駅に戻る。「今日はありがとうね」「いや、こちらも楽しかったよ。」母は「次はいつ会えるの?」という言葉を飲み込んでニコニコしている。
残りの人生をどこで、どう過ごすか。
誰と一緒にいて、何をしたいか。
最近、そんなことばかり考えている。
その答えがこの鎌倉にある気がしてならない。
(す)
◆今泉台ってどんなところ?
今泉台は1960年代に開発された住宅地で、扇状に広がる幅員の広い道路、一つの区画が大きいゆったりとした住宅街。大船駅からはバスで20分と遠いです。だからこそ自然を感じるゆったりした環境ともいえます。バス便は本数も多いので案外不便さは感じないかも。北鎌倉へ続く道は絶好のお散歩コース。明月院前を通るいかにも古都の渋みある小径を楽しんで。
