こども時代を、ここ柳小路で過ごした。とにかくおてんばで、誰よりも足が速かった。習い事は全くしなかった。とにかく遊びまわった、勉強はほとんどせずに。一人で遊ぶお気に入りの場所は、家の裏山。そこで鳥のさえずりを聞きながら、いろんな野草を摘んだりして遊んだ。すみれの花がお気に入りで、自宅の庭に植えたりした。家には全然なつかない真っ白なスピッツがいた。とにかくいつもキャンキャンだった。ちょっと遠出をするなら片瀬山へ。当時はこどもの中にも、しっかりと縦社会のグループがあって、お兄さんお姉さんや同年代のお友達、年下の子たち、みんなでターザンごっこや隠れ家を作ったりした。鵠沼海岸や腰越、江の島らへんの海でも遊んだ。時々江ノ電にも乗ったけど、当時はどこにでも自分の足で走って行った。
いまの柳小路周辺を少し寂しく思う。当時は区画が大きく、マツの木が多い雰囲気のあるお家が印象的だった。細かく割られた区画に、建てられていく家が散見される今の風景に、ここ柳小路の雰囲気の中では、それを少し寂しく感じてしまう。近所を走り回るこどもたちや遊び場も、減ってしまったように感じる。片瀬山も隠れ家どころか、いつのまにか綺麗に整備されてしまった。時代の流れは、ここ柳小路にもはっきりと流れてきているんだなと感じる。
蓮池に大輪の蓮の花を見に行くのも好きだった。とにかく遊びまわったここ柳小路を、大人になった自分が思うのは、この場所を愛していた。記憶をたどると、そんな気持ちが沸き上がってくる。きっといつまでもその気持ちは変わらない。柳小路をまた誰かに愛してほしい。
(正o)
