何となく、やりたいと思っていたけど、あと回しにしていたこと。好きな小物やインテリアに囲まれて、映画をまったりみたい。一番のお気に入りは、ロシアでめぐりあったマトリョーシカたち。素朴な表情と包み込むフォルムがたまらない。映画はプラダを着た悪魔。仕事は年々面白くなっていて、上司からも右腕として重宝されてきた。駆け抜けてきた30代、もう一人の私に耳を澄ます時間が欲しくなってきた。
仕事は週3回リモートで出社は2回。神楽坂のワンルームも年末に更新になるし、学生時代によくいった北鎌倉の寺を散策しがてら、サイトで見つけた山の頂上の土地を見に来た。急こう配の坂を登り切った先、緑と空しか見えない煌きの世界が広がっていた。暗いトンネルから出て光に包まれるあの瞬間。遮るものが何もないこの土地で、小さな平屋を建てたいと思った。三角屋根で渋い赤色の屋根。外壁はグレイッシュにしっとりしたい。庭は牧場のように草を生やして白いフェンスで囲う。毎週通って、大工さんにお茶を入れ、自分で床板を貼って、壁の塗装をする。マトリォーシカたちの棚板はサンダーをかけてビンテージな質感に。
自己実現できている感じがしていたのに、もう片方の自分がめをつぶっているのに気付かされた。きらめきのこの瞬間。もう一人の自分に耳を傾けて。
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