単なるセクシーとは違うのです。艶っぽさには「品」があるのです。
葉山のヴィンテージマンション。山をバックに、白い凸凹の外壁にブルーの屋根ラインがスッと入った京急ストアの前の白いやつです。控えめだけど個性はある、バルコニーの壁はアールを描き、どことなく情緒的で、女性的。昨今の新築マンションというのは、パキッと黒!でバルコニーはピカピカガラスという感じで、男性受けを狙っているようにしか見えないのは私だけでしょうか。
そして、周囲の景観を損ねないという美意識。背後に山があったり、庭があったりと、あくまでも地べたに住む人本来の姿を尊重しながらもちょっと上に階数増やしましたよ的な控えめな感じで、そこに人の湿り気、体温みたいなものを感じるのだと思います。年月を経ても愛されるものというのは、完成された美しさでなく、徐々に地域の人の意識で埋まっていくような、余白が必要なのだと思います。アントニオガウディの作品群が愛されるのも、未完成の美学ですよね。
さて、外の話しはこれくらいにして、内部ですが、特に大きな特徴がありません。最低限のリノベーションが施されています。床が無垢材、壁天井は表しのコンクリートを白く塗ってあります。お金かけないぞ!という設計者の意図がよく伝わります。潔いです。それでいいのです。華美な装飾や機能は要りません。住む人が徐々に自分で選択して仕立てあげていく方が住み心地はよくなります。余白を残しておくことは大事です。
品のある艶っぽい顔立ち、中はこれから自分好みにできる余白がある。素敵です。
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