そうなることは予想していた。
物件調査どころじゃ無かった。
板張りに正座してでも長く座ってしまうぐらい、気持ちいいんだから。
陽当たりが計算されたような広縁の奥行き。
広縁に面して天井の高い格子天井の和室が二部屋。
前面道路からの目線が気にならない少し高い立地。
鉄棒もある南側の大きな庭。
その向こうに広がる佐島の海と油壺の陸。
昔は目の前が砂浜だったっていうんだからその光景も蘇るほどだ。
この家に戻ってくることが日々のことを考えさせてくれる時間を与え、人間の気持ちを落ち着かせてくれるって。わかる。
だって子供達をこの場所・環境で育て、東京の大学までここから通っていたというんだから。
こういう生活をしたいと思いながらも、
日本人でありながらしたことがないから恥ずかしい話だ。
でもここの広縁に座って売主様の話を聞いたら
なんだか今までなんだったんだろうという情景や情緒を感じる。
かつては夏の間だけ文豪達も泊まりにきていたこの家。
和室がいくつもあり、みんなが集まれる20畳を超えるLDK。
今では規制が厳しくなった民泊だが、この時代は当たり前のように進んでいた。
このような環境の場所だけか。
さらにはドラマの舞台としても使われた経歴も持っている。
内部意匠も素晴らしい素材、デザイン、年月が経っても味のある、落ち着きのある風合いがなんとも帰りたくなる落ち着いた家だ。
目の前の海、それは佐島の海であり、近年話題の場所であることは知っていた。
毎月第4土曜日は歩いて3分ぐらいで行ける「佐島朝市」おすすめである。
佐島朝市の名物、屋台では新鮮な食材を使った料理を販売し、遠いところからこれ目当てに来るお客さんが多い。
新鮮な食材に出会える佐島の朝市。季節ごとに水揚げされる魚は違い、魚の解体ショーや、その日獲れた魚の説明会など、その都度開催されているので、毎月どんな魚に出会えるか楽しみである。
朝市に行けなくても、佐島漁港で水揚げされたばかりの活きののいいタコやカツオ、サザエ、アワビなどの魚介類を販売している丸吉商店さん。平日に行くのが新鮮さを味わうにはおすすめである。土日は漁をしていないからだ。
周りには三浦半島の野菜、佐島・横須賀・三浦の各漁港の魚介類、ハーブやフルーツ、肉、卵、牛乳などの、旬の食材を肌で感じながらも、そこに住むということができるのは何より今、欲していることかもしれない。
さて、様々持ち帰って、持ち寄って。
親戚や友人を呼んで広縁に戻ろう。
〔L〕
